虫さん

車の助手席の窓に虫がとまっていた。  一瞬Gかと思ったがよーく見たら触角がいように長いが春の虫って感じの風貌で、色は茶と白が斑で、形はコオロギやホタルのような、Googleで調べてみたが不明である。
  

少し気になるも走ってしまえば逃げるだろうと思い、ちらちら見ながら走っていたが一向に落ちず五分ほど先のスーパーにまでついてきてしまった。


駐車場に止まってよーく見たら足が窓に挟まっているのである。わたしが窓を開けた時にどうやら足も一緒に入ってしまったようだ。 

また一度開けて閉めたらとれるかも、と開けてみたら、おばあちゃんが転んだような動きをして焦ってしまった。痛かったに違いない。


外に出て見てみると6本?くらい足があって右足の一番前が挟まっていた。しかもギーギーと鳴きながら一生懸命抜こうとしてるのである…。


車のキーの先端で引っかけて抜こうとするも、ギーギーと鳴いて痛がってるように見える。どうにかならないか…車の中に何かめぼしい物がないかと探していたらコンビニで貰った割り箸があった。そのなかに爪楊枝があるはず!


車の窓と縁のフェルトの様なところの中に爪楊枝でさして空間をつくってあげたら、足がぬけて落ちた。良かった!脚はとれてはいないようだ。
 
落ちた虫さんはテクテク歩いてゆく。ここは駐車場だ。ひかれてしまう瞬間が脳裏に浮かんで焦った。爪楊枝に虫さんをのせてちょっとずつ端の草むらに置いた。良かった良かった。




そういえば虫さんを助ける為ずっと独り言を言っていたのでどうみても不審者だ。スマホの懐中電灯をあてての作業だったので余計である。



虫さん、どうか命をまっとうしてね。虫も痛がるし、助かろうと頑張るんだなって思った。ギーギー鳴いていた虫さんがいとおしく思った。虫さんは何を思っただろう。小さくても心があるにちがいない。